申年最初の吟行地 豊川稲荷へ
寒詣で打ち出の小槌唱え持つ 中尾美智子
つまみ引く神籤箪笥や四温光 彦坂 艶子
立春大吉貼りて伽藍の太柱 林 春美
石仏の頭巾新し四方の春 佐々木千代子
末黒野や一直線に道つづく 中内まつ江
車道へと野焼きの煙流れけり 河合 澄子
沃野にて農夫ひとりの野焼かな 森下 全秀
寒禽の囃して杖の裏参道 佐藤 英子
「俳句は挨拶である」と、俳人の言として読んだことがあります。
最近まで、なんのことかよく分からなかった。それがいっぺんに
なるほど、と納得できる説明というか、回答が得られました。
謎解きは。1800年代のはじめ、九州は薩摩藩の支藩、佐土原藩の
寺の住職野田泉光院、は強力平四朗をつれて、全国の神社仏閣を
参拝すりことを思い立ち、56歳のとき行脚に出て、6年2か月をかけて
無事帰国した、その旅をまとめた「九峰修行日記」。これを読んで感心したり
驚たり、しました。
日記の内容はまたの機会にして、全国津津浦々、托鉢する先々で、俳人もしくは
俳句をたしなむ程度の庶民がいくらでも登場して、泉光院は連句をしたり発句をかわす。
日記に書かれた俳人は100人を超えています。